Q&A

 

北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」文政12年(1829)

 

一般的な質問

  • 浮世絵は木版画。浮世絵の「浮世」は「今」「現代」という意味があり、各時代に人気のあった美人や歌舞伎役者、観光スポット等が描れてきた。

  • 葛飾北斎、歌川広重、写楽、歌麿、国貞、国芳 etc.

  • 絵師(何を持って絵師というか?)、「浮世絵師」はもういない。 彫師9人 摺師30人

  • 葛飾北斎「冨嶽三十六景」(人気で追加10枚で合計46枚セット)

    歌川広重「東海道五拾三次」(日本橋〜京都の合計55枚)など

  • 浮世絵コレクターやミュージアムが多い、日本より海外の方が保管されている

  • 他の絵と比べての特徴: 絵師、彫師、摺師、版元の4者がいて初めて完成する、木版画

  • 美術館、太田記念美術館など浮世絵を多く置いている美術館がある。

  • パスポート、新札、グッズ

  • 神保町の浮世絵屋さん

  • その浮世絵を描いた浮世絵師が生存中にできた作品。その時代に摺られた木版画。江戸時代の作品に顔料が使用されている物、または、復刻版なのに初摺と主張しているものは本物ではない。


歴史

  • 「浮世」は流行の意味があり、その当時流行っていたものに「浮世」と付けて呼んでいた「浮世絵」「浮世傘」「浮世下駄」など、合成語。昔は、「絵画」は高価なものでありお金持ちしか購入できなかった。しかし浮世絵は、木版画で何枚もの絵を安く摺り、売って、流行させることができたので、「浮き世」+「絵」=「浮世絵」と言った。

  • 今で言うインスタグラムのような存在。当時の人たちは浮世絵から流行を取り入れていた。

  • 延宝6年頃(1678年頃):墨摺絵誕生(菱川師宣)

    「墨摺絵」からスタートした浮世絵は、様々な変化を経て、現代日本が誇る、色鮮やかで美しい「錦絵」へと進化していった。発祥は江戸(東京)。

  • 江戸時代「20文」ぐらい今の「400円」ぐらい

    復刻版/ 現代の浮世絵のそれぞれ版元によって値段が変わる。数万〜、当時よりはかなり高額になっている。価値が上がっている。

  • 美人絵(美人画)、名所絵(風景画)、役者絵、妖怪図、幽霊絵、相撲絵、枕絵(春画)、花鳥絵、子供絵、数えきれないほどある

  • ジャポニスム

  • クロードモネ、ゴッホ

  • きっかけは、『北斎漫画』が、陶器などを輸出するときのクッション材として使われていたこと。本格的に広まったのは1867年パリ万博。


浮世絵

  • 山桜の版木・和紙(越前生漉奉書)・染料

  • 越前和紙の原料となるのは、楮(こうぞ)の木の皮の繊維と、主にネリ(植物性の粘着液、主にトロロアオイを使用する)です。楮などを煮て不純物を取り出し、それでも取りきれないものは手作業で除去します。その後、たたいて繊維を柔らかくします。そこに水とネリを合わせて、やっと紙の元が出来上がります。紙の元となる原料の中に簀桁(すげた)を入れ、前後にゆすって厚さを整えます。その後、簀桁から外し、圧力をかけて水分を絞ります。その後、天日または乾燥室で乾燥させます。

  • 昔から木を仕入れている会社から取り寄せています。年々、山桜の数が減っていて貴重になってきております。山桜の版木の硬さがちょうど良い(彫りやすい)

  • 顔料、染料、植物染料、現代は、ほぼ化学染料でコストも低い(海外から入ってきたもの)、今までは植物や鉱物などだったので色が褪せてきたりしたが、化学染料になってから色持ちが良くなった。透明絵具(染料)と不透明絵具(顔料)。ベロ藍(ベルリンブルーの染料:広重ブルー、北斎ブルーなど)や中国からの安い染料など。

  • 木版画であること、今を描くこと。

  • 両方:もちろん目で楽しむものだが、彫や摺による凸凹の要素や、角度を変えることによって見えてくるものがあることが、浮世絵をフィジカルなアートにする。

  • 明治時代に入ってから限定200枚(一杯)とよく言われがちだが、実際は決まっておらず、売れる見込みがある場合摺るので、最初は50枚ぐらいの場合がある。


制作工程

  • 各アーティスト2ヶ月づつで半年の制作期間

  • 主板とは、輪郭線を残して彫り上げたもの。

  • 絵師が校正摺に朱墨で「色差し」をします。それを受け取った彫師が「色板」を彫りますので、色板とは主板に色を摺る際に使用する版木です。

  • 枚数の限りはないが、UKIYO-E PROJECTではエディションNo.を付けて付加価値を高めている(作品によって異なるが、100~200枚ほど)

  • 8回


UKIYO-E PROJECTについて

  • 浮世絵の「浮世」は「今」「現代」という意味があり、各時代に人気のあった美人や歌舞伎役者、観光スポット等が描れてきた。UKIYO-E PROJECTは、その浮世絵のスタンスを現代にいかしたいという考えの基、2014年三井悠加により発足された現代の版元であり、現代のスターや風景を伝統木版画で表現している。浮世絵職人の新たな需要を創出し、技術を後世に伝承していく新たな展開は、世界中で高く評価され、大英博物館(ロンドン)、やオーストリア応用美術博物館(ウィーン)、マイアミ大学図書館などに所蔵されている。

  • 職人さんはそれぞれ、長年の修行で得られた技術を持たれている。だから最高級の作品を作るためには、一つの技術に特化された方達を集め、力を合わせる必要がある。また、UKIYO-E PROJECTは「浮世絵=木版画」という意識で制作している。

  • Echizen Kizuki Housho 和紙を使用。江戸時代から技術を受け継がれている職人さんたちと仕事をしている。題材は「今を描く」。浮世絵の技術を伝承するという目標をもつUKIYO-E PROJECTとしては、こういった「こだわり」は必要な基準であると思う。

  • 類似点:木版画、今を描いている
    相違点:技術?(毛わりなどをとても細かいディテールを彫る技術を持つ職人が少ないため)       
    UKIYO-E PROJECTの場合:限定品であること、価格帯

  • UKIYO-E PROJECTの「浮世絵」の基準の一つが「木版画であること」なので、 はい。昔は木版で摺ることが、今の大量生産のようなものだった(印刷の機械の代わりだった)。なので「需要がないものは淘汰される」という考えがあるように、現代の木版画は「効率的」という理由で存在していない。職人技によって生まれる暖かみなど、一つ一つ表情が違うという、現代ならではの魅力があり、「アート」という価値が見出された。

  • 昔は何千人と職人がいた分、制作のコストが低く、浮世絵もそば一杯分の値段で買えた。が、今は職人の数が減り、作るのに時間がかかるから限定している。

    あとUKIYO-E PROJECTは、浮世絵を昔の「メディア」としてメインに制作しておらず、「アート」として作っているから。

  • 「今を描く」という広いコンセプトは今でも続いていると思います。KISS、Iron Maiden、David Bowieはもちろん歌舞伎役者ではないですが、役者が江戸時代当時の人気者だったように、コラボしたミュージシャンたちは現代の「スター」たちです。